
社内で新規事業の企画が何度も出てきて、ほぼ必ず失敗するのはなんでだろう?
新規事業の専門ではない私でも、このような失敗を自社・他社問わず見てきました。
本日紹介する『新規事業を必ず生み出す経営』守屋 実(著)には、冒頭の質問への回答があります。
新規事業のプロである著者が、50以上の事業開発を手掛ける中であみだした、新事業を再現性をもって生み出す「基本の型」を公開する本です。
タイトルに【必ず】とついていることにまず驚くのですが、それ以上に驚くのが【価格】です。


ん・・・?
定価:本体 13,500円+税?
印刷ミスじゃなくて?
税込14,850円!?
一般的なビジネス書10冊分の価格です。
価格に引いてしまい購入を躊躇する方(自分も一度躊躇しました)に、一部内容をご紹介できればと思います。
結論を先にいうと、まじめに新規事業を起こしたい人にとって、本書は決して高くない、必読書です。
著者の守屋 実氏について
ビジネス書において、たまたまうまくいったことをノウハウとして語っている書籍は再現性がないため、読む時間の無駄です。(投資系の本に多い)
従って、ビジネス書の著者のプロフィール・実績は重要です。
本書の著者の守屋 実(もりや みのる)氏について、プロフィールの抜粋が以下です。
・30年で50余の事業開発にかかわる、わが国屈指の「新規事業のプロ」
・2018年に「ブティックス」、「ラクスル」を2か月連続で上場に導く
・参画したスタートアップが毎年のように上場
スタートアップ上場は1000社に1社と言われる中、成功確率が脅威的
・大学卒業後、機械工業系の専門商社ミスミに入社
創業社長の田口弘氏より、
「新規事業がなかなか成功しないのは、やる人間が常に初心者だから。
失敗しても成功しても新規事業をやり続けて、勘所がわかるプロになれ」
と命をうけて、10年に新規事業に挑み続ける
その後も田口氏の新会社エムアウト、独立後も新規事業の立ち上げ・売却を経験
田口氏の言葉の「成功してもやり続けろ」というところがポイントで、成功すると多くの場合、その事業が本業になり、新事業担当でなくなってしまう。
結果、新規事業を成功に導くプロというのは生まれず、再現性あるノウハウも型として残りにくい。
守屋氏は、田口氏が作った「新規事業だけをやる会社をつくる」ということを掲げた「エムアウト」社で、「自社の社員、自社の資金、自社のアイデアで事業を生み出し、うまくいったら売却し、その売却益でまた新規事業をつくる」というビジネスモデルの中で、常に新規事業だけをやり続けた稀有な経験をもった、新規事業のプロです。
その守屋氏が自身の30年の経験をもとに、新規事業の「基本の型」を書いたのが本書です。
(税込14,800円は決して高くないです)
自社の新規事業が失敗する理由
守屋氏は、①企業は必ず新規事業を生み出せるが、②社内起業は99%同じ失敗をしているため、②を回避すれば、成功確率は飛躍的に上がるといいます。
ヒトもカネも情報も信用もゼロであるベンチャーと比較しても、社内起業は圧倒的に有利です。
社内起業の失敗の99%をしめる理由は「本業の汚染」です。
- 売上の小さい新事業に人員を増やせないから、専任ではなく兼任でやれ
- 初期段階で、3年後の売上利益と明確な根拠を求められ、ないと投資しない
- 失敗確率が圧倒的に高いため、新規事業担当は人事評価が下がって損する
まさに社内の新規事業あるあるだなぁと頷きながら読みました。
会社は本業を最適化するために設計されるため、このルールを新規事業に押し付けるとうまくいきません。
失敗要因から脱する策と成功させる基本型
「ラクスル」のような時価総額1千億円のユニコーンを生み出すような大成功は、運も必要であるため、成功を確実に再現することは難しいが、失敗回避は可能である。
「こうすれば必ず失敗する」を避けることで、新規事業成功の再現性が格段にあがる
というのが守屋氏の結論です。
本書では、「構造的な失敗要因から脱する策」と「新規事業を再現性をもって成功させる基本の型」を体系化されています。
ここでは簡単に骨組みをご紹介します。詳細は本書をご覧ください。
構造的な失敗要因から脱する策
本業の汚染を回避する3つの視点として「3-2-1」の対策が整理されています。
3つの切り離し (本業から新規事業で切り離すべき3つ) | ①資金 ②意思決定 ③評価 |
2つの機能 | ①支援(本業からの協力を得るための支援) ②型化(ノウハウの蓄積と可視化) |
1人の戦士 | 新規事業を「自分ごと」として担う人材 |
特に3つの切り離しの以下2つについては、私の経験で何度も遭遇したことがあります。
①資金
期初にチームを発足、本業時間の一部を充てることで検討を開始。
下半期に差し掛かるころ、今期の着地が厳しそうだとわかり、「新規事業の予算を削ろうか、、、」となる。
逆に本業が好調な場合だと、「戦力を増強しよう!」となり。新規事業が調整弁にされる。
②意思決定
「やったことのない人が、やったことのない人に、やったことのないことを、やらせるかやらせないか決めるために、入念な準備をさせる」という、およそ費用対効果に合わない惨状が広がっている
これらを解決するのは一担当ではなく、組織の経営層がトップダウンで組織的にやらないと成立しません。だから本書のタイトルも『新規事業を必ず生み出す【経営】』とついているのだなと妙に納得しました。
新規事業を再現性をもって成功させる基本型
①マーケットアウトの型 | どういう事業をつくれば成功するか |
②仮説・検証・参入の型 | どういう手順でやれば成功するか |
③新事業のプロと対象市場のプロの型 | どういうメンバーでやれば成功するか |
まとめ
守屋氏は多くの成功があったものの大きな失敗も数多くしていています。
学生時代から今に至るまでの成功と失敗が生々しく語られ、追体験できるのが本書の魅力です。
(文章から熱量を感じます)
一部抜粋が守屋氏のNotesでよむことができます。
▼守屋 実 氏のNotes
https://note.com/moriyaminoru/n/n90f44de3cc64
本ブログでは、本書の一部に触れましたが、上記以外に、、、
- 新規事業の7つの大罪(事業を失敗へと導く可能性のある7つの姿勢や行動)
- 筋のいいアイデアの3つの見つけ方
- アイデアを事業計画に磨き上げる12の手順
- ユニットエコノミクス(顧客一人当たりの採算性)
- 行き詰った時のピボットの2大鉄則
等々、あるあるの共感と、なるほどの連続です。
本書で述べられる失敗パターンのまま新規事業を始めると必ず失敗します。
自分が経営層ではなく新規事業を担当する場合、経営層に近い上司と本書を読めば、時間とお金の大幅な削減につながると思います。
繰り返しになりますが、新事業をまじめに考えたいという方に本書は必読書です。
\高価格なのに、発売後1年で6刷されるほど売れている/
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